アルアカ - Arcadia Academia

Arcadia Academiaは「エンジニアリングを楽しむ」を合言葉に日本のデジタル競争力を高めることをミッションとするテックコミュニティです。

WSLでローカルAIを動かす|GPUパススルーの実際と手順【WSL3・NPUパススルーは誤報:2026年7月訂正】

Featured image of the post

「ローカルでLLMを回したいけど、WindowsだとGPU周りが面倒そう」「WSLからGPUって本当に使えるの?」「NPU搭載PCを買えばもっと速くなる?」——ローカルAIをWindowsで始めようとすると、必ずぶつかる疑問です。

結論から言うと、WSL2からGPUを使うことは以前から可能で、いま実際に動かせます。一方で、一時期広く報じられた「WSL3のNPUパススルー」は誤報でした。この記事では、実際に動く構成と手順だけを扱います。

📢
【重要な訂正】2026年7月25日

本記事は当初「WSL3のGPU/NPUパススルー」という内容で公開していましたが、その前提が海外メディアの誤報でした。Microsoftが公式に「WSL 3は存在しない」と否定しています。旧版に記載した 「NPUパススルー対応」「DirectML 2.0」「ベアメタル比3〜5%」「対応PCはCopilot+ PC等に限定」はいずれも公式の裏付けがない記述でした。実際に動作する内容へ全面的に書き直しています。誤った情報をお届けしたことをお詫びします。

💡
30秒で要点

・「WSL3」は存在しない。GPUが使えるようになったのはWSL2で、しかも新機能ではない(2020年から対応)
・Windows側にNVIDIAドライバを入れれば、WSL2内でnvidia-smiとCUDAがそのまま動く
・Ollama・llama.cpp・PyTorchはWSL2上で普通にGPU推論できる
・2026年6月30日公開の WSL container(wslc) で、コンテナにも --gpus all でGPUを渡せるようになった
NPUをWSL経由で使う公式の仕組みは、現時点で発表されていない
・特別なPCは不要。NVIDIA GPU搭載機であれば今すぐ始められる

💡
WindowsでのローカルAI環境構築・GPUサーバー選定のご相談はお気軽にどうぞ!

ご用途に合わせた最適な構成をご提案します。

お問合せはこちら


[目次を開く]

1. 訂正:WSL3もNPUパススルーも存在しない

まず前提を正します。WSLのプロダクトマネージャーCraig Loewen氏は2026年6月23日、X(旧Twitter)で次のように述べました。

As a PSA, there is no such thing as WSL 3! I've seen some articles talking about it, and it's not currently a thing.
(訳:お知らせとして——WSL 3というものは存在しません。いくつかの記事がそれについて書いているのを見かけましたが、現時点でそんなものはありません)

一時期流通した「WSL3のNPUパススルー」「DirectML 2.0」「ベアメタル比3〜5%」といった記述は、Microsoftの公式発表・公式ドキュメントのいずれにも存在しません

⚠️
重要なのは、GPUについては「新機能ではないが、実際に使える」という点です。WSL2は2020年からCUDAによるGPU利用に対応しており、待つ必要はありません。以降はその実際の手順を扱います。

2. 実際の構成:WSL2からGPUはこう見えている

WSL2はHyper-Vの軽量VM上でLinuxカーネルを動かしていますが、GPUについては専用の仕組みでWindows側のドライバに橋渡しされています。WSL内にLinux用GPUドライバを入れる必要はありません

flowchart TB
    A["PyTorch / Ollama / llama.cpp<br>WSL2 の Linux 内"] --> B["CUDA Toolkit<br>WSL 用"]
    B --> C["WSL2 Linux カーネル<br>GPU 橋渡し層"]
    C --> D["Windows 側 NVIDIA ドライバ"]
    D --> E["物理 GPU"]

ここでよくある失敗が、WSL内でLinux版NVIDIAドライバを入れてしまうことです。橋渡しの仕組みが壊れて nvidia-smi が動かなくなります。入れるのはWindows側のドライバだけです。


3. 手順:WSL2でGPUを使えるようにする

必要な作業は3つだけです。

① Windows側にNVIDIAドライバを入れる

通常のGame Ready DriverまたはStudio Driverで構いません。WSL専用の特別なドライバは不要です。

② WSL2でGPUが見えるか確認する

# WSL2 の Linux 内で実行
nvidia-smi

GPU名とドライバのバージョンが表示されれば成功です。ここが通れば9割終わっています。

③ CUDA Toolkit(WSL版)を入れる

PyTorchなどをソースから動かす場合に必要です。必ずwsl-ubuntu向けのリポジトリを使う点に注意してください。

wget https://developer.download.nvidia.com/compute/cuda/repos/wsl-ubuntu/x86_64/cuda-keyring_1.1-1_all.deb
sudo dpkg -i cuda-keyring_1.1-1_all.deb
sudo apt-get update
sudo apt-get -y install cuda-toolkit

4. ローカルLLMを動かす

GPUが見えていれば、あとは通常のLinuxと同じです。

Ollama(最も手軽)

curl -fsSL https://ollama.com/install.sh | sh
ollama run llama3

インストール時にGPUが自動検出されます。ollama run 実行中に別のシェルで nvidia-smi を叩き、メモリが使われていればGPU推論が効いています。

PyTorch

pip install torch
python -c "import torch; print(torch.cuda.is_available())"   # True なら成功

llama.cpp

git clone https://github.com/ggml-org/llama.cpp
cd llama.cpp
cmake -B build -DGGML_CUDA=ON
cmake --build build --config Release
⚠️
モデルファイルはLinux側のファイルシステムに置いてください。 /mnt/c/...(Windows側)に置くと、ファイルI/Oが大幅に遅くなり、モデルのロードに時間がかかります。~/models/ などLinux側に配置するのが鉄則です。

5. 新機能:WSL container でGPUを使う

ここが2026年6月30日に実際に追加された部分です。WSL container(wslc.exe)を使うと、コンテナにGPUを渡してAIワークロードを動かせます。

# WSL をプレリリース版に更新(WSL 2.9.3 以上が必要)
wsl --update --pre-release

# コンテナにGPUを渡してCUDAが使えるか確認
wslc run --rm --gpus all pytorch/pytorch:2.5.1-cuda12.4-cudnn9-runtime \
  python -c "import torch; print(torch.cuda.is_available())"

GPUの受け渡しはContainer Device Interface経由で行われます。プロジェクトごとにCUDAバージョンを切り替えたい場合など、環境を汚さずにAIワークロードを試せるのが利点です。

ただし現時点ではパブリックプレビュー(GAは2026年秋目標)で、Docker Compose未対応です。Composeを使った複数コンテナ構成が必要な場合は、当面Docker Desktopが現実的です。


6. NPUはどうなのか

率直に言うと、WSL経由でNPUを使う公式の仕組みは、現時点で発表されていません

旧版記事に書いた「NPUパススルー対応」「DirectML 2.0によるAMD XDNA 2 / Intel Core Ultra / Qualcomm NPUの活用」は、誤報に由来する記述でした。Microsoftの公式資料にNPUに関する記載はありません。

Copilot+ PCなどNPU搭載機をお使いの場合、NPUを活用するアプリはWindows側で動かすのが現状の前提です。「WSL内のLinuxからNPUを叩く」構成は、公式には用意されていないと理解しておくのが安全です。

ローカルAIをWSLで動かすなら、NVIDIA GPUを積んだマシンを選ぶのが現時点で最も確実です。


まとめ

  • 「WSL3」も「NPUパススルー」も存在しません。旧版の記述は誤報に基づくものでした
  • 一方で WSL2からのGPU利用は以前から可能で、いますぐ動かせます。特別なPCも待機も不要です
  • 手順は「Windows側にNVIDIAドライバ → WSL内で nvidia-smi 確認 → CUDA Toolkit(wsl-ubuntu版)」の3ステップ
  • Ollama・PyTorch・llama.cppはWSL2上で普通にGPU推論できます。モデルはLinux側のファイルシステムに置くのが鉄則
  • 2026年6月30日公開の WSL container(wslc) で、コンテナにも --gpus all でGPUを渡せるようになりました(プレビュー、Compose未対応)
  • NPUをWSLから使う公式の手段は現時点でありません。ローカルAI目的ならNVIDIA GPU搭載機が確実です
💡
ローカルAI環境の構築・GPUマシンの選定のご相談はお気軽にどうぞ!

お問合せはこちら

よくある質問(FAQ)

Q. WSL内にNVIDIAドライバを入れる必要はありますか?

不要です。むしろ入れてはいけません。 Windows側のドライバをWSL2が橋渡しする仕組みのため、WSL内にLinux版ドライバを入れると nvidia-smi が動かなくなります。WSL内に入れるのはCUDA Toolkit(wsl-ubuntu向け)までです。

Q. nvidia-smi が動きません

まずWindows側でGPUドライバが最新か確認してください。次に wsl --update でWSL本体を更新します。それでも駄目な場合、WSL内にLinux版NVIDIAドライバを入れていないか確認してください。

Q. NPU搭載PCを買えばローカルAIが速くなりますか?

WSLで動かす前提なら、現時点では効果を期待できません。 WSL経由でNPUを使う公式の仕組みが存在しないためです。ローカルAI用途ならNVIDIA GPUを優先してください。

Q. WSL container(wslc)は使うべきですか?

コンテナで環境を分離したい場合は有用ですが、パブリックプレビュー段階でDocker Compose未対応です。まずはWSL2に直接Ollamaなどを入れる構成で十分実用になります。

関連記事

📄Arrow icon of a page linkWSL3は存在しない|Microsoftが公式否定した誤報の正体とWSL container(wslc)の実際【2026年7月訂正】

📄Arrow icon of a page linkWSL container(wslc.exe)とは?導入手順と使い方を解説【パブリックプレビュー対応・2026年7月更新】

📄Arrow icon of a page linkWSL2とWSL3の違いは?——「WSL3」は存在しません|実際にWSL2に追加されたもの【2026年7月訂正】

📄Arrow icon of a page linkWSLとは?簡単に図解で解説|WindowsでLinuxを使うメリットとWSL2インストール手順【2026年版】

出典


関連記事

プログラミング学習でお悩みですか?

現役エンジニアがあなたの学習をマンツーマンでサポートします。

  • 学習の進め方がわからない
  • ポートフォリオの作り方を知りたい
  • 現場で使える技術を学びたい
まずは30分の無料相談

相談は完全無料・オンラインで気軽に

あなたを爆速で成長させるメンタリングプログラムはこちら

メンタープログラムバナー

学習・開発のお悩みは現役エンジニアに相談

メンタープログラムの詳細を見る

エンジニアの基礎学習ゲーム

プログラミング学習支援

無料相談はこちら