近年、JavaScript/TypeScriptの実行環境として「Bunランタイム」が注目を集めています。Node.jsやDenoに続く新たな選択肢として、圧倒的な速度とシンプルなエコシステムを提供し、開発者の生産性を向上させることを目的としています。
本記事では、Bunランタイムの特徴やメリット、実際の活用方法について詳しく解説します。
[目次を開く]
Bunランタイムとは？
Bunは、JavaScriptとTypeScriptの実行を高速化するために開発された新しいランタイムです。従来のNode.jsと異なり、Zigという低レベル言語で記述されており、パフォーマンスを最大限に引き出す設計がされています。
公式サイト: https://bun.sh
主な特徴として以下の点が挙げられます。
- 超高速な実行速度（Node.jsの3倍以上のスピード）
- ビルトインのパッケージマネージャ（
npmより高速な依存関係管理） - TypeScriptのネイティブサポート（トランスパイル不要）
- 軽量なランタイム（省メモリで動作）
- Web API互換性の向上（ブラウザライクなAPIが利用可能）
Bunの主な機能
1. 圧倒的なパフォーマンス
Bunは、Node.jsやDenoよりも数倍速いスクリプト実行速度を誇ります。これは、JSC（JavaScriptCore）エンジンを活用し、無駄なオーバーヘッドを削減しているためです。
実際のベンチマークでは、HTTPサーバの起動やファイル読み込み処理などがNode.jsの約3倍の速さで動作することが示されています。
2. 組み込みパッケージマネージャ
Bunには、bun install という独自のパッケージマネージャが組み込まれており、従来の npm や yarn よりも高速です。
主な特徴：
- npm互換（既存のnpmパッケージがそのまま利用可能）
- 超高速なインストール（1秒未満で依存関係を解決）
- ファイルサイズの最適化
bun install react
上記のコマンドで、Reactなどのライブラリを瞬時にインストールできます。
3. TypeScriptのネイティブサポート
Bunでは、TypeScriptをトランスパイルなしで直接実行可能です。Node.jsではts-nodeなどを追加でインストールする必要がありますが、Bunならその手間が不要です。
bun run index.ts
上記のように、TypeScriptファイルを即座に実行できます。
4. Web APIのサポート
Bunは、ブラウザで利用される**fetch、WebSocket、URL などのWeb APIをネイティブでサポート**しています。これにより、フロントエンド開発者にとって親しみやすい環境が提供されます。
const response = await fetch("https://api.example.com/data");
const data = await response.json();
console.log(data);Bunのインストール方法
Bunのインストールは非常に簡単で、以下のコマンドを実行するだけで利用可能です。
curl -fsSL https://bun.sh/install | bash
もしくは、macOSではHomebrewを使用してインストールできます。
brew install oven-sh/bun/bun
インストールが完了したら、以下のコマンドで動作確認を行います。
bun --version
Bunを使った基本的なプロジェクトの作成
Bunでは、以下のコマンドを使用してプロジェクトを素早くセットアップできます。
bun create react ./my-app
cd my-app
bun install
bun run dev
これにより、Reactアプリを簡単にセットアップして開発を開始できます。
Bunを活用すべき場面
Bunは、以下のようなユースケースに最適です。
- 高速な開発環境が求められるプロジェクト
- パフォーマンスが重視されるAPIサーバの構築
- TypeScriptを多用するアプリケーション
- スクリプトの実行やテストの自動化
まとめ
Bunランタイムは、従来のNode.jsに比べて圧倒的な速度とシンプルな開発環境を提供する革新的なプラットフォームです。特に、TypeScriptのサポートや超高速なパッケージ管理により、開発者の負担を大幅に軽減できます。
今後、さらにエコシステムが拡大していくことが予想されるため、ぜひプロジェクトに取り入れてみてください。
