ソフトウェア開発を行う際、Gitを使ってコードやプロジェクトのバージョン管理を行うことが非常に便利です。前回の記事でGitのインストール方法を紹介しましたが、今回はローカルリポジトリの作成方法について解説します。ローカルリポジトリを作成することで、プロジェクトの変更履歴を手元で管理できるようになり、過去のバージョンに簡単に戻したり、チームメンバーと変更を共有したりすることが可能です。
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ローカルリポジトリとは?
まず、「ローカルリポジトリ」という言葉を簡単に説明します。Gitには大きく分けて2つのリポジトリが存在します。1つはローカルリポジトリ、もう1つはリモートリポジトリです。ローカルリポジトリは、開発者が自分のコンピュータ内で管理するGitのリポジトリで、オフライン環境でも使用できます。これに対して、リモートリポジトリはインターネット上に存在するリポジトリであり、GitHubやGitLabなどのプラットフォーム上で管理します。
今回は、ローカルリポジトリを作成し、ファイルを管理するための基本的なコマンド操作を説明していきます。
ローカルリポジトリを作成するステップ
1. 新しいプロジェクトディレクトリを作成
まず、ローカルリポジトリを作成したいプロジェクトのディレクトリを用意します。まだディレクトリが存在しない場合は、新しいディレクトリを作成しましょう。
ターミナル(Windowsの場合はGit Bash、macOSやLinuxではターミナル)を開き、以下のコマンドでディレクトリを作成します。
mkdir my_project
cd my_project
上記のコマンドでmy_project
という名前の新しいディレクトリが作成され、そのディレクトリに移動します。
2. Gitリポジトリを初期化する
次に、Gitを使ってこのディレクトリをローカルリポジトリとして初期化します。以下のコマンドを実行します。
git init
このコマンドを実行すると、my_project
ディレクトリ内に.git
という隠しフォルダが作成されます。このフォルダはGitがプロジェクトのバージョン管理に使用する情報を保存する場所です。これで、このディレクトリはGitによって管理されるローカルリポジトリになりました。
3. ファイルを作成してGitで管理する
次に、リポジトリ内で管理するファイルを作成します。例えば、index.html
というファイルを作成する場合、以下のコマンドを使用します。
touch index.html
このコマンドは、空のHTMLファイルを作成します。Windowsの場合は、touch
コマンドが使えない場合があるので、テキストエディタなどを使って手動でファイルを作成しても問題ありません。
4. 変更をステージに追加する
ファイルを作成しただけでは、まだGitはそのファイルを管理していません。ファイルをGitの管理下に置くには、まずステージに追加する必要があります。以下のコマンドで、index.html
をステージに追加します。
git add index.html
このgit add
コマンドは、指定したファイルやディレクトリを次回のコミットに含めるためにステージングエリアに追加します。
5. コミットを作成する
ファイルがステージに追加されたら、次はコミットを作成します。コミットとは、リポジトリの変更履歴にその時点のプロジェクトの状態を記録することです。コミットを作成するには、以下のコマンドを使用します。
git commit -m "Initial commit"
-
m
オプションは、コミットメッセージを指定するためのもので、ここでは「Initial commit」としています。コミットメッセージは、他の開発者にも分かりやすいように、行った変更内容を簡潔に記述しましょう。
6. 状態を確認する
最後に、現在のリポジトリの状態を確認するためにgit status
コマンドを使います。
git status
このコマンドを実行すると、リポジトリの状態やステージに追加されたファイル、未コミットの変更などが表示されます。すべてがコミットされていれば、「nothing to commit」と表示されます。
ローカルリポジトリの使い道
ローカルリポジトリは、開発作業のバックアップとして役立つだけでなく、以下のような様々な場面で活用できます。
1. 安全な実験環境
ローカルリポジトリを使うことで、新しい機能や変更を他の開発者に影響を与えることなく実験できます。問題が発生しても、以前のコミットに簡単に戻ることができます。
2. 変更履歴の管理
プロジェクトが進行するにつれて、ファイルやコードが頻繁に変更されます。ローカルリポジトリを使うことで、いつでも過去のバージョンに戻したり、特定の変更を追跡することが可能です。
3. リモートリポジトリとの連携
後ほど、リモートリポジトリ(例: GitHubやGitLab)と連携することで、チーム全体でプロジェクトを共有・協力して開発が進められるようになります。ローカルでの作業をリモートリポジトリに反映することで、他のメンバーも変更内容を確認しながら作業を進められます。
まとめ
今回は、ローカルリポジトリの作成手順を紹介しました。Gitは強力なバージョン管理システムであり、ローカルリポジトリを作ることで、効率的なプロジェクト管理が可能になります。次は、このローカルリポジトリをリモートリポジトリと連携させ、より高度なGitの機能を活用していきましょう。