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TypeScriptの導入方法を解説

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TypeScriptは、JavaScriptのスーパーセットであり、静的型付けやコード補完の機能を提供することで、開発者の生産性を向上させる言語です。TypeScriptを導入することで、コードの可読性や保守性を高め、大規模なプロジェクトでも信頼性の高い開発が可能になります。本記事では、TypeScriptを初めてプロジェクトに導入する際の手順と、導入後の基本的な設定について解説します。

1. TypeScriptのインストール

Node.jsとnpmの準備

TypeScriptは、Node.jsとnpm(Node Package Manager)を利用して簡単にインストールできます。まず、Node.jsがインストールされているか確認しましょう。以下のコマンドでNode.jsとnpmのバージョンを確認できます。

node -v
npm -v

もしNode.jsがインストールされていない場合は、公式サイトからインストールしてください。

TypeScriptのグローバルインストール

次に、npmを使ってTypeScriptをインストールします。TypeScriptはプロジェクトごとにインストールする方法と、システム全体で使えるようにグローバルにインストールする方法があります。まずは、グローバルインストールの方法を紹介します。

npm install -g typescript

インストールが完了すると、tsc(TypeScriptコンパイラ)というコマンドが使用可能になります。以下のコマンドでバージョン確認を行い、正しくインストールされたか確認しましょう。

tsc -v
プロジェクトにTypeScriptをインストール

特定のプロジェクトでTypeScriptを使用したい場合は、プロジェクト内にTypeScriptをローカルインストールします。プロジェクトのディレクトリに移動して、以下のコマンドを実行します。

npm install --save-dev typescript

これにより、プロジェクト内でTypeScriptを使用できるようになります。

2. TypeScriptプロジェクトのセットアップ

TypeScriptを導入したら、次にTypeScriptの設定ファイルであるtsconfig.jsonを作成します。このファイルには、TypeScriptコンパイラに対する設定が記述されます。

tsconfig.jsonの作成

以下のコマンドで自動的にtsconfig.jsonファイルを生成できます。

tsc --init

生成されたtsconfig.jsonには、多くのオプションがコメント付きで含まれています。主な設定項目として以下が重要です。

  • target: コンパイル後のJavaScriptのバージョンを指定します(例: es5, es6)。
  • module: モジュールシステムを指定します(例: commonjs, esnext)。
  • strict: 厳密な型チェックを有効にするオプションで、trueに設定するとTypeScriptの静的解析が強化されます。
{
  "compilerOptions": {
    "target": "es6",
    "module": "commonjs",
    "strict": true}
}

この設定ファイルによって、TypeScriptのコンパイラがどのように動作するかを細かく制御できます。

3. TypeScriptファイルの作成とコンパイル

TypeScriptファイルの作成

TypeScriptファイルは拡張子が.tsです。例えば、index.tsというファイルを作成し、以下のようなシンプルなコードを書いてみましょう。

function greet(name: string): string {
    return `Hello, ${name}!`;
}

console.log(greet("TypeScript"));
TypeScriptのコンパイル

tscコマンドを使って、.tsファイルをJavaScriptにコンパイルします。以下のコマンドでindex.tsをコンパイルして、index.jsというJavaScriptファイルを生成できます。

tsc index.ts

成功すれば、同じディレクトリにindex.jsファイルが生成されます。このファイルは、通常のJavaScriptと同様にブラウザやNode.jsで実行可能です。

node index.js
自動コンパイル設定

TypeScriptの開発を効率化するために、ファイルの変更を監視して自動的にコンパイルを行うオプションを有効にすることも可能です。以下のコマンドを実行すると、ファイルが変更されるたびに自動でコンパイルが行われます。

tsc --watch

4. JavaScriptプロジェクトにTypeScriptを導入する

既存のJavaScriptプロジェクトにTypeScriptを導入する場合も、手順は基本的に同じです。既存の.jsファイルをそのまま.tsにリネームすることができますが、TypeScriptの強みを最大限に活用するためには、次のようなステップを踏むことを推奨します。

ステップ1: TypeScriptのインストール

既存プロジェクトのルートディレクトリで、TypeScriptをインストールします。

npm install --save-dev typescript
ステップ2: 型定義ファイルの導入

TypeScriptでは、外部のJavaScriptライブラリを使用する際に型定義ファイルが必要です。@typesというパッケージで多くのライブラリの型定義が提供されています。例えば、lodashを使っている場合は以下のコマンドで型定義をインストールします。

npm install --save-dev @types/lodash
ステップ3: JavaScriptファイルの移行

既存の.jsファイルを1つずつ.tsに移行しながら、型を追加していきます。最初は型チェックを緩やかに行い、プロジェクト全体にTypeScriptを導入した後、徐々に厳密な型付けを適用していくとスムーズです。

まとめ

TypeScriptを導入することで、JavaScriptの柔軟性を維持しつつ、静的型付けによる安全性と開発効率を得ることができます。本記事で紹介した手順に従って、プロジェクトにTypeScriptを簡単に導入できます。導入後は、tsconfig.jsonの設定や自動コンパイルなどの便利な機能を活用して、効率的にTypeScript開発を進めましょう。



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