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マルチステージビルドとは?メリットや実践方法を徹底解説!

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近年、コンテナ技術の発展により、アプリケーション開発の効率化が進んでいます。その中でも、Dockerの「マルチステージビルド(Multi-Stage Build)」は、軽量でセキュアなコンテナイメージを作成するための強力な機能として注目されています。本記事では、マルチステージビルドの概要やメリット、具体的な実装方法について詳しく解説します。


[目次を開く]

マルチステージビルドとは?

マルチステージビルドとは、Dockerfile内で複数のビルドステージを定義し、最終的に必要なアーティファクト(実行ファイルなど)だけを抽出して、軽量なコンテナイメージを作成する手法です。

通常のDockerビルドでは、ビルド環境とランタイム環境を同じコンテナに含めるため、サイズが肥大化しやすくなります。しかし、マルチステージビルドを活用すれば、以下の流れで効率的なイメージ作成が可能になります:

  1. ビルドステージ
    • アプリケーションのコンパイルやテスト、依存関係の解決を行う
  2. 最終ステージ(ランタイム)
    • ビルド成果物のみをコピーし、最小限の環境を用意する

マルチステージビルドのメリット

1. コンテナイメージの軽量化

通常のビルドでは、ビルドツールや一時ファイルが残り、コンテナのサイズが大きくなります。しかし、マルチステージビルドを使用することで、実行に必要なファイルのみを最終イメージに含めるため、コンテナサイズを劇的に削減できます。

2. セキュリティの向上

ビルド時にのみ必要なツールやデータが最終イメージから排除されるため、攻撃対象が減少し、セキュリティリスクを最小限に抑えることができます。

3. ビルドの効率化

複数のステージを活用することで、キャッシュを有効に使ったビルドの高速化や、異なる環境への柔軟な対応が可能になります。

4. 運用のシンプル化

マルチステージビルドにより、ビルド環境と実行環境を明確に分離できるため、運用がシンプルになります。特にCI/CDパイプラインとの相性が良く、効率的なデプロイが可能です。


マルチステージビルドの実装方法

ここでは、具体的なDockerfileの例を用いて、マルチステージビルドの実装方法を紹介します。

例:Goアプリケーションのマルチステージビルド

# 第一段階: ビルドステージ
FROM golang:1.18 AS build

WORKDIR /app
COPY . .

# アプリケーションのビルド
RUN go build -o myapp

# 第二段階: 実行ステージ(軽量なイメージを使用)
FROM alpine:latest

# 必要な依存関係のインストール
RUN apk --no-cache add ca-certificates

# ビルド成果物のみをコピー
COPY --from=build /app/myapp /usr/local/bin/myapp

# 実行コマンド
CMD ["myapp"]
  1. ビルドステージ(golang:1.18 AS build
    • Goの公式イメージを使用し、アプリケーションをビルド
  2. 実行ステージ(alpine:latest
    • 軽量なAlpine Linuxを使用し、最小限の依存関係のみをインストール
  3. COPY --from=build
    • ビルドされたバイナリのみをコピーして、余計なファイルを排除

他のプログラミング言語でのマルチステージビルド

マルチステージビルドは、Go以外にもさまざまな言語やフレームワークで活用できます。例えば:

  • Node.js依存関係のインストール(npm install)→ 最適化したアプリのコピー
  • Pythonライブラリのビルド(pip install)→ 必要なファイルのみコピー
  • JavaJDKを使ったビルド → 軽量なJRE環境での実行

マルチステージビルドのベストプラクティス

  1. ステージ名を適切に管理する
    • AS buildAS testなど、分かりやすい名前を付ける
  2. 不要なファイルを最小化する
    • .dockerignoreを活用し、不要ファイルをビルドコンテキストに含めない
  3. キャッシュの活用
    • COPYの順序を工夫し、キャッシュを最大限活用することでビルドを高速化
  4. セキュリティを意識する
    • ベースイメージの脆弱性チェックを定期的に行う

まとめ

マルチステージビルドを活用することで、コンテナイメージの軽量化やセキュリティ向上、ビルドの効率化など、多くのメリットを享受できます。特に、CI/CDパイプラインとの連携において強力なツールとなるため、コンテナ開発を行う際には積極的に導入を検討してみてください。

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