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要件定義とは?その概要と要点を解説

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要件定義は、システム開発やプロジェクト管理においてユーザーのニーズやビジネスの目標を明確にし、具体的な仕様や機能として文書化するプロセスです。要件定義の目的はユーザーのニーズを明確化し、プロジェクトの範囲を定義し、利害関係者間の合意を得ることです。要件定義はヒアリング、要件収集、要件分析、要件文書の作成、要件レビューと承認のステップで進められます。機能要件、非機能要件、制約要件の3つの種類があります。要件定義の重要性は誤解を防ぐこと、変更管理を容易にすること、コストとスケジュールの管理を助けることです。

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対象読者
要件定義について大枠を理解したいシステム開発に関わる初学者

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要件定義の概要

要件定義は、システム開発やプロジェクト管理において、ユーザーのニーズやビジネスの目標を明確にし、それを具体的な仕様や機能として文書化するプロセスです。要件定義はプロジェクトの成功にとって極めて重要なステップであり、この段階での不備や誤解は後の開発工程で大きな問題となることがあります。

要件定義の目的

要件定義の主な目的は以下の通りです:

  1. ユーザーのニーズを明確化する:システムが解決すべき問題や提供すべき機能を具体的に理解すること。
  2. プロジェクトの範囲を定義する:プロジェクトで実現するべき範囲を明確にし、必要なリソースや期間を見積もること。
  3. 利害関係者間の合意を得る:クライアント、開発者、プロジェクトマネージャーなど、すべての関係者が共通の認識を持つことを目指す。

要件定義のプロセス

要件定義は一般に以下のステップで進められます:

1. ヒアリング

まずはユーザーやクライアントとのヒアリングを行い、システムに求める要件や期待を聞き出します。ここで重要なのは、ユーザーのビジネスプロセスや目標を深く理解することです。

2. 要件収集

ヒアリングの結果を基に、システムに必要な機能や性能、制約条件などをリストアップします。この段階では、技術的な要件だけでなく、業務的な要件やユーザーの操作性に関する要件も含めて収集します。

3. 要件分析

収集した要件を分析し、重複や矛盾を排除します。また、要件の優先順位を決定し、どの要件を優先的に実現すべきかを明確にします。

4. 要件文書の作成

分析結果を基に、要件を詳細に文書化します。この文書には、機能要件、非機能要件、制約条件、インターフェース要件などが含まれます。要件文書は、後の設計や開発の基礎となる重要なドキュメントです。

5. 要件レビューと承認

作成した要件文書を関係者全員でレビューし、修正点があれば反映します。その後、最終的な承認を得ます。ここでの合意は、プロジェクトの進行を円滑にするために非常に重要です。

要件定義の種類

要件定義は大きく分けて以下の3種類があります:

1. 機能要件

システムが提供すべき具体的な機能や操作についての要件です。例としては、ユーザー認証機能、データ入力機能、レポート生成機能などがあります。

2. 非機能要件

システムの性能や品質に関する要件です。例としては、応答時間、可用性、セキュリティ、スケーラビリティなどがあります。

3. 制約要件

システム開発における制約や条件です。例えば、特定のプラットフォームや技術を使用する必要がある場合や、予算や納期の制約などが該当します。

要件定義の重要性

要件定義は、プロジェクトの成功を左右する重要なステップです。以下の理由から、その重要性が強調されます:

1. 誤解を防ぐ

要件定義がしっかりと行われていれば、開発者とクライアント間の誤解を防ぐことができます。明確な要件があることで、何を開発すべきかが明確になり、プロジェクトの方向性がブレることがありません。

2. 変更管理が容易になる

要件が明確に定義されていれば、プロジェクトの途中で発生する要件変更にも柔軟に対応できます。変更の影響範囲を正確に把握し、適切な対応が可能となります。

3. コストとスケジュールの管理

要件定義がしっかりと行われていれば、プロジェクトのコストやスケジュールの見積もりが正確になります。これにより、プロジェクトの進行管理がスムーズになり、予期しない問題の発生を最小限に抑えることができます。

要件定義の代表的な成果物

1. 要件定義書
  • 概要:
    要件定義全体を文書化したもので、プロジェクトの基本的な方向性を示す重要なドキュメント。
  • 内容例:
    • システムの目的と背景
    • 機能要件(システムが実現する具体的な機能)
    • 非機能要件(性能、セキュリティ、拡張性など)
    • 制約条件(技術的制約、予算、スケジュールなど)
  • 目的:
    クライアントと開発者、関係者間で合意を形成するための基準となる。

2. ユーザー要求仕様書
  • 概要:
    ユーザーの視点から見た要求や期待をまとめた文書。
  • 内容例:
    • ユーザーのニーズや期待
    • 解決すべき課題
    • ユーザーの操作イメージやワークフロー
  • 目的:
    ユーザーの目線で具体的なニーズを洗い出し、開発の方向性を明確にする。

3. 機能一覧表
  • 概要:
    システムに搭載される全機能をリスト化したもの。
  • 内容例:
    • 各機能の概要
    • 機能の優先順位
    • 依存関係や関連する機能
  • 目的:
    開発の全体像を把握しやすくする。また、ステークホルダー間で機能に関する共通認識を持つため。

4. 画面遷移図
  • 概要:
    システムの画面構成や遷移を視覚的に表現した図。
  • 内容例:
    • 各画面の役割や名称
    • ユーザー操作による画面遷移パターン
  • 目的:
    ユーザーインターフェースの設計や操作フローを理解しやすくするため。

5. 業務フロー図
  • 概要:
    ユーザーやクライアントがどのような業務を行っているのかを視覚的に示した図。
  • 内容例:
    • 現状の業務プロセス
    • システム導入後の業務プロセス
  • 目的:
    ユーザーの業務全体を理解し、システムがどの部分を改善するのかを明確にする。

6. データフロー図(DFD: Data Flow Diagram)
  • 概要:
    データの流れや処理を視覚化した図。
  • 内容例:
    • データの入力、出力
    • データの格納場所(データベースなど)
    • データ処理の流れ
  • 目的:
    データの処理や流れを明確にし、設計フェーズでの基盤とする。

7. ユースケース図
  • 概要:
    ユーザーがどのようにシステムを利用するかを表現した図。
  • 内容例:
    • ユーザー(アクター)の種類
    • 各アクターが実行するシナリオ
  • 目的:
    ユーザー視点でシステムの利用方法を把握する。

8. 非機能要件リスト
  • 概要:
    システムの性能や品質、制約に関する要件をまとめた文書。
  • 内容例:
    • 応答時間、スループット
    • セキュリティ要件
    • 可用性(稼働率や障害対応)
    • 拡張性、保守性
  • 目的:
    システムの安定性や品質に影響を与える要件を明確にする。

9. スコープ定義書
  • 概要:
    プロジェクトで実現する範囲と、範囲外の内容を明確に記載した文書。
  • 内容例:
    • 実現するべき機能や仕様
    • 実現しない(スコープ外)項目
  • 目的:
    プロジェクトの境界を明確にし、後からの不要な要求追加を防ぐ。

10. プロトタイプ(必要に応じて)
  • 概要:
    システムの主要な画面や操作を実現した試作品。
  • 内容例:
    • 実際の画面や遷移のデモ
    • 基本的な操作フローの確認
  • 目的:
    クライアントやユーザーとの早期合意を形成しやすくする。

まとめ

要件定義は、システム開発やプロジェクト管理において欠かせないプロセスです。ユーザーのニーズを正確に把握し、それを具体的な仕様として文書化することで、プロジェクトの成功に大きく貢献します。適切な要件定義は、関係者間の誤解を防ぎ、プロジェクトの進行を円滑にするための基盤となりますので、しっかりおさえておきましょう!

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